ライゾマ齋藤精一氏が登壇したデジタルクリエイティブイノベーションコース(無料体験講座)で考えたこと

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宣伝会議がこの春に開催する「デジタルクリエイティブイノベーションコース」の無料体験講座に行ってきました。今回の講師は本講座の講師を務められるライゾマティクス齋藤精一さん。実はWorld IA Dayと開催日がかぶっていたのですが、あちらはYoutubeに全編アーカイブされるとのことなので(圧倒的感謝!)、今回は表参道の宣伝会議オフィスへ。

今回の内容は昨年開催された同講座の内容の振り返りと、齋藤さんが考える現代の広告のあり方やデジタルが絡む広告表現について。僕(UXデザイナー)は広告屋さんではありませんが、デジタルのものづくりに携わる人間として好奇心を刺激されたり、あるいは新たな視点に気づいたりと、頭と心を使える良い機会になりました。以下に印象に残ったポイントを簡単にまとめます。

テクノロジーが道具になる

近年プロジェクションマッピングやVR、ARなどわかりやすく画期的な技術がピックアップされることが多くあります。しかし当然ながらコミュニケーションにおいて重要なことは新しい技術を用いることではなく、技術を機能的に行うことです。齋藤さんは同じくライゾマティクスのアートディレクターである木村浩康さんのお仕事を例に、そんなお話をしてくれました。例えばデータビジュアライズにしても、膨大なデータ をきれいにビジュアライズすることはあくまでもプロセスの一部でしかなくて、それを使ってどのようなサービスなりプロダクトなりに繋げていくかが重要である、と。

これはおそらく広い分野で共通していることで、いわゆる「手段の目的化」をやめよう、ということでしょうか。そしてテクノロジーがわかりやすく目立っている時代だからこそ「手段の目的化」タイプのプロジェクトが技術面で賞賛されることもあり、逆に本質がわかりづらくなっているのかもしれません。

ぼくの主戦場である「デジタルのオウンドメディア」という狭い領域に限っても、とりあえずAI、とりあえずチャットボット、といった「技術」ありきのプロジェクト(ブリーフ)は少なくありません。本質はそこではなく、当然ながら「課題を解決するためにどの技術を使うか」なので、仮にクライアントから新しい技術を用いることを求められても、仮に提案するとしても地に足をつけてロジカルに考えることを意識していたりします。

クライアントは経営者になるべき

ライゾマティクスといえば最新技術を使って近未来的なプロジェクトを行っている印象がありますが、クライアントとの付き合い方についても、とても興味深いお話がありました。齋藤さん曰くクライアントには2つのタイプがあるといいます。1つは所属部署内で持っている権限の範囲内でできることをやる担当者タイプ。もう1つは経営者タイプ。つまり自分の決済で新しい潮流を作る姿勢で取り組む人のこと。

齋藤さんが経験されたという経営者的クライアントの案件


まだYouTubeもSNSもバイラルマーケティングも流行っていなかった頃に、クリエイティブを信頼して任せてくれた。とのこと。

これはクライアントワークをしているととても共感する話で、管轄部署の問題でできることが限られていたり、スムーズに進まなかったりは日常茶飯事です。そしてここまでリアルとデジタルが融け合っていて、ユーザーの購買行動、メディアとのタッチポイントが多岐に渡る時代に一つのWebサイトで解決できることは限られています。よくオムニチャネルという言葉が使われたり、経営層から改革を!みたいなことが叫ばれるのも同じ文脈で、やはり統合的に考えてユーザーとコミュニケーションを取ることが得策だと考えるのが妥当です。

ただエージェンシーサイドのぼくらはこういうことを愚痴っぽく言っているだけではダメで、積極的にクライアントと肩を組み、近い距離でクライアントが経営者になれるよう手助けしていくことも、プロジェクトを推進する上では重要な役割になってきていると感じています。

広告が機能を持つ

例えば相当の予算をかけてCMを打ったとして、それが肖像権等の関係で1クールで終わってしまう。これについては「これは本当に社会を良くしているか」という疑問を抱かれていたそうです。そこで考えたのが「広告の寿命をもっと長くできないか(=広告に機能を持たせる)」ということ。

広告やマーケティングが同時に社会を良くしていくことはいわゆるCSV(Creating Shared Value)に近い考え方なのかなと思いました。

齋藤さんが例として挙げてくださったのは銀座ソニービルの跡地にできる「ソニーパーク」。

2018年の夏にまた会いましょう。

2017年4月1日からこのビルの解体が始まります。50年もこの地でみんなと出会ってきたビルです。言葉にならない気持ちで一杯です。でも、戻ってきます。2018年の夏までお待ちください。Sonyプロダクトを展示していた建物から、思いきって、この土地を”Park”にします。想像してください、このビルの先に抜ける青空を。想像してください、この銀座で始まる、新しい創造性の聖地を。銀座のみんな、すこしの間だけ、さようなら。そして、50年間、ありがとう。時代が変わっても、テクノロジーが変わっても、ソニーはここにあります。

GINZA SONY PARK PROJECT

この「ソニーパーク」はデベロッパーではなく、ソニーが運営しているとのこと。これからはサステナブルで社会性を伴ったプロジェクトこそが世の中にインパクトを与えていくのでしょうか。会社の近くなので、ちらっと覗いたことはありますが、近いうちにガッツリ見てこようと思います。

これらを自分の仕事に置き換えると、UXは本来ユーザー中心の思考なので、ユーザーの役に立たないものを創るのは本意ではありません。そしてユーザーにとって利便性の高いUIを設計することは可能ですが、UXデザイナーとしてのミッションはむしろユーザーの生活(社会)を良くする仕組み、サービスをユーザー中心で組み立てることです。社会を良くするサービスを、ユーザー中心で設計されたUIを通して提供することが、UXデザイナーの本来の役割だと考えています。

もちろんビジネスとして成果を出すことは大前提ですが、ビジネス成果を出す仕組みの設計も含めた上流(サービスデザイン)から入り込むことでより価値のあるアウトプットができると改めて感じました。

クリエイティブは追うものか、追うものを作るものか

『流行りに合わせた広告なり、戦略なりを作るか。あるいは世の中はこう変わるべきというスタンスでものを作っていくか。ライゾマはテクノロジーを使って、人が追うもの、世の中を変えるものを意識的に作っている。』

これは本講義の最初におっしゃったことです。世の中に良い影響を与えることに妥協しない姿勢、超大事。


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