【書評】IA/UXプラクティス モバイル情報アーキテクチャとUXデザイン

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「IA/UXプラクティス モバイル情報アーキテクチャとUXデザイン」をようやく読了。

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そして読了後、本書についてさまざまな感想や書評を拝見した。
その中で何人か「教科書的一冊」という表現をしていたが、教科書」ではなく「参考書」としてとても有益な一冊なのではないか。

実務の手引きとしての参考書

本書はタイトルに「モバイル情報アーキテクチャとUXのデザイン」とあるように、「モバイル」という環境に絞って、デスクトップのデザインからの変遷やユーザー特性など「前提」を明示した上で、「実務」のレベルを向上させるための知恵や知見が散りばめられている。
IA/UXのデザインについて、手を取ってイチから教えてくれる教科書的書籍ではなく、あくまでも実務の手引としてアドバイスを求めるように読みたい参考書だ。

したがって、実務の経験がなくこれからIA/UXを学ぼうという読者には少し頭に入りづらい内容であるだろう。
※ amazonにある★1の書評はそういった読者層が手に取ったのではないかと推測。

IA/UXをイチから勉強したいのであれば「IA100 ユーザーエクスペリエンスデザインのための情報アーキテクチャ設計/長谷川 敦士」や「UXデザインの教科書/安藤 昌也」が適しているかもしれない。

本書籍ではまずIA/UXデザインの基本的な捉え方や「モバイルファースト」の考え方について、多くの参考文献と筆者の経験を基に記述されている。そしてモバイルにおけるUXデザインについて、よく用いられるモバイル時代の方法論とよくある課題&解決策が、坂本さんの長年の経験、知見に基づいて実務的な視点でまとめられている。UXデザイン、UIデザイン、情報設計領域で実務を経験して壁にぶつかった人、難しさを痛感した人にこそ有益な内容になっているのではないか。

UX関連の書籍がアカデミックな内容が多い中、ここまで実践を想定した内容が網羅されている書籍は重宝される。

以下に気になった、気付きがあった点をいくつか簡単にまとめる。

気付き・発見

▼ モバイルファーストの考え方
モバイルファースト ≠ モバイルサイト、アプリを構築すること
モバイルファースト = ユーザーが本当に必要としていることにフォーカスして、モバイルサイトやアプリを設計すること。
→ ユーザーを知ること、ユーザーのニーズを掘り起こすことが肝となる。
→ UXデザインアプローチが有効。

▼モバイルでのデザインパターンの考え方
何がユーザーにとって必要な情報か、どうすれば伝わりやすいか、といった機能的なことが重要。
→ モバイル環境においては、デザインに求められるものを「情報」ではなく「機能」として捉えることが必要。
→ 機能 = 利用の対象
→ 「ビジュアルデザイン」も「インタラクションデザイン」も「構造設計」もすべてユーザーが目的を達成するための機能。
→ これらは総じてデザインシステムとも捉えられる。

▼定量的調査と定性的調査の組み合わせ
● 定量→定性
定量調査の結果から、被験者を選定して定性的調査を実施する場合
アクセスログやアンケート調査からカスタマージャーニーマップを作成する
→ カスタマージャーニーマップはあくまでも仮説なので、実際の定量データをプロセスに取り込むことで精度を上げることができる。

● 定性→定量
定性的調査で仮説を生成し、調査項目を決めて定量的調査を実施する場合
→ [所感] 定量的調査で見えてくる課題より定性的調査でユーザーのインサイトを深掘りした結果導かれる課題の方が、より本質に近い課題になるのでは。

まとめ

また最後にAppendixとして3名のインタビュー、コラムが掲載されているのだが、そのうちのひとつとしてTHE GUILDのUIデザイナー深津貴之さんのインタビューが掲載されている。モバイルアプリのUIデザインを多く手がけられている深津さんのデザインメソッドやインプット方法、そしてクライアントとの立ち回りまで、さまざまな角度からUIデザインのお話をされており、こちらも必読。

はじめに経験がない人の「教科書」としては難しいと書いたが、もし仮にモバイルのIA/UXデザインの全く経験がなかったとしても、本書を読んでおくことでありがちな問題に直面せずに済んだり、スムーズに乗り越えられたりするヒントにはなると思うので、実務の従事する人には一読いただくことをオススメしたい。


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