リリスクの縦型MVの没入感の正体をUX視点で考察してみた

RUNandRUN

HIPHOPアイドルlyrical school(以下リリスク)が公開した「RUN and RUN」、iPhoneで観ると「スマホがジャックされてる!」と感じる、凝ったクリエイティブ、仕組みになっている今作。キーワードになっている「没入感」の正体をUXの観点で考察しました。

リリスクのMVが「革新的!」と大人気!

先日リリスクが縦型のMVを公開しました。iPhoneのUIを模したクリエイティブで、実際にスマホ(iPhone)で観ると面白い体験ができると各所でバズっております。実際にスマホ(できればiPhone)で観てもらうのが一番なのですが、簡単に説明すると「スマホがジャックされてる!」「MVなのに、操作したくなっちゃう!」という、トリックアート的なMVです。

ちなみに安室奈美恵みたいなインタラクティブ案件でありません。

そして、そのスマホ最適化MVというアイデアと視聴体験(没入感)についてさまざまな考察が飛び交っていますが、システムとユーザーとの間で起こる体験を設計する仕事をしている立場として自分の考えを書き残しておきます。

スマホ最適化縦型MV自体は前例があります

先日シンガーソングライター秦基博が公開した「聖なる夜の贈り物」のMVも縦型で、今回のリリスクのようにスマホにぴったりハマるMVでした。
ですが、あんまりバズらなかったですよね。。なので、「縦型だから流行った」わけではなくて、むしろ「秦基博のMVにはなくて、リリスクのMVにはあったもの」こそが今回の没入感を生み出した正体であり、バズった要因であると考えています。

没入感の正体は何か

没入感の正体の前に、今回のMVがなぜこんなにバズったのか、革新的だと言われているのかについて、音楽ライターの柴那典さんの考察がとても面白く、納得感もあったので、こちらもぜひご一読ください。
日々の音色とことば 「lyrical school「RUN and RUN」の縦型MVは何が革新的だったのか」

今回の本題である没入感の仕組みについてですが、「RUN and RUN」MVを観た直後にぼくがツイートした内容に言いたいことが概ねまとまっていたので、こちらに引用しておきます。

整理すると

没入感の正体 = スマホ利用のコンテクストに沿った映像展開

面白さの正体 = 混同とメタの行き来、それから展開のテンポの良さ

ではないか、というのがぼくの考えです。

前例は本当にないか?

革新的だったと言われる今回のリリスクのMVですが、上記のツイートが没入感、面白さの正体だと仮定すると、考え方自体は既に存在していたと思うんですよね。

その同様の考え方のもと作られたと思われるMVが「SOUR ‘映し鏡'(Mirror)」です。

ぼくの上司から教えてもらったPVですが、Macの画面上でストーリーが展開されるMVです。自分はWindowsユーザーなのと、現在公開されているMVは拡大しても画面にぴったりハマらない&画質が悪いので、今回のリリスクのMVのような没入感は生まれないのですが、もしこれらの条件が揃ったのであれば、リリカルのMVと同様の体験が生まれたのではないか、という点で類似性を感じました。
もし、それでも今回の「RUN and RUN」の方が没入感が高いのであれば、その理由は「マウス操作とタッチ操作の違い」に尽きると思います。

マウスは道具です。もちろん、そのインタラクション性によって身体の延長のような感覚になっていますが、やはり実際の「身体」を使って操作しているスマホ「身体の延長」であるマウスを使って操作しているPCとでは、前者の方が対象への没入体験のリアリティが増すのかなと想像しています。

このあたりのUX的な話は名著「融けるデザイン」で書かれているので、興味がある方はぜひご一読ください。

後記

今回はリリスクの「RUN and RUN」をユーザー体験、インタラクションデザインの領域と絡めて考えることができたのは良かったです。自分が好きな異なる領域で何かが繋がる瞬間がとても気持ちいい。


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